ベトナム旅行で定番のお土産といえば、「雑貨」ですね。しかし、雑貨といっても、その種類は非常に多いです。スプーンやフォークといった調度品も雑貨と言えますし、洋服やバッグ、アクセサリーも雑貨。
今回紹介したいのは、その数ある雑貨の中でも、ベトナムの伝統手工芸品の1つとして数えられる「刺繍」です。
目次
ベトナムの三大手工芸品とは
ベトナムでは古くから手工芸が伝統的に盛ん。その中でも「陶磁器」、「木彫り」、「刺繍」は三大手工芸として、古くから受け継がれています。
今回紹介する「刺繍」は、19世紀の阮朝時代に培われた手工芸技術と言われています。現在でも町中には刺繍画の専門店がありますし、お店経営者や富裕層がお店や自宅の装飾用として買っていきます。かつては王宮の皇帝や貴族が愛でていたとされていますが、現在では大分身近な存在となっている様子。
ベトナムの刺繍の特徴
刺繍自体は日本人からすると、それほど珍しいものではありませんね。日本でも歴史上古くからあります。しかし、近代の日本では、機械の発展によって刺繍の多くは機械刺繍となりました。
機械刺繍は技術継承の必要がありませんし、ミリ単位で縫うことができ、なおかつ短時間で生産することが可能なのが特徴。
しかし、機械で刺繍を作った場合、その正確さが返って美しさをなくしていると言われています。機械刺繍の場合、常に一定の間隔と圧力で縫い付けるため、本来刺繍画が持つ独特の厚み、肌ざわり、立体感が失われていると言います。
ベトナムの伝統的な刺繍
ベトナムでは2つの伝統を古くから守っています。
1.機械刺繍ではなく、すべて手刺繍
ベトナムでは伝統を守るため、刺繍はすべて職人の手による手刺繍を原則としています。ベトナム国内で最大手の刺繍会社である「XQ」社であっても、それは固く守っています。
2.刺繍職人は全員女性
通常の縫製であれば、男性職人も多くいますが、刺繍画に関してはすべて女性となります。刺繍は古くから手先が器用な女性の嗜みとして知られていて、それはベトナム人女性にとっては誇りそのもの。
市場やそこら辺のお店に入っても、女性スタッフがお客がいない空き時間を利用して刺繍を作っている様子を、そこかしこで見ることができます。
ベトナム刺繍をお土産に
ベトナムの刺繍雑貨は大きく分けて2種類あります。
1.小物雑貨
山岳菅笠のノンラー、ポーチ、バッグ、ハンカチ、洋服など、布や皮の素材に刺繍を縫い付けます。以前は刺繍が多ければ多いほど価値があると見なされていて、日本人にとっては派手さが難点でした。しかし、昨今は派手さを抑えたワンポイント程度の刺繍雑貨が人気となっているようです。
2.刺繍絵
一見するとキャンバスに描かれた単なる絵画ですが、よく見ると画すべてが刺繍。卓上の小さなサイズで数千円程度で購入できるので、こちらはお土産にもおすすめ。当然サイズが大きくなれば、それだけ値段も上がり、高いものだと200万円クラスの刺繍絵もあります。また、色糸の数が多いほど価値も上がります。
品質のいい刺繍の見分け方
刺繍の価値と品質は「縫い付けの緻密さ」、「サイズ」、「色糸の数」で決まります。ベンタイン市場で買えるような刺繍雑貨は、あまり品質が良くなく、間近で見ると刺繍の縫い付けが1cm単位の間隔となっています。これだと刺繍の持つ独特の厚みが失われてしまい、またほつれやすいです。
お土産用の雑貨であれば、実際手に持って触ることもできますので、気になったものは手に取り、肌ざわりを確かめましょう。普通の絵にはない立体感を指先で感じることができるのは、良質な刺繍の証拠です。
ベトナム土産に刺繍を買っていこう
刺繍絵であれば卓上サイズがおすすめで、それ以外であれば、ハンカチやポーチをお土産に買っていってはいかがでしょうか。いずれもベトナムを象徴する風景をデザインしているものが多いので、自分用だけではなく、他人へ贈るお土産としても重宝するはずです。